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第1話 データ解析はサイコロから(六一学者の千字一話)

吉澤正先生御逝去に寄せて

六一学者の千字一話  六一学者 (吉澤 正氏)
六一学者 - 吉澤 正氏
(第10回JUSEパッケージ活用事例シンポジウムにて)


最近,コンピュータ界,特に情報処理教育草分けの指導者で,統計学やオペレーションズ・リサーチ(OR)の世界的な学者である森口繁一先生が『Excel/Basic基礎指南』を日本規格協会から出版された.読みやすく使いやすいように良く工夫されたテキストで,例題はやさしい数学や作図,確率統計からORに及び,エクセルからもう少し進んだ処理やさらに上級なプログラム技法を学びたい人まで,おおいに役に立つ楽しい本である.(85歳のご高齢にも関わらず,ウェブページ http://www01.u-page.so-net.ne.jp/gc4/mrgt-sig/*1を始められたので,そこも覗いてみてください.)

筆者は,日本規格協会の雑誌『標準化と品質管理』3月号にその感想を書いたが,そのとき,魔方陣(618/753/294を3x3の四角に並べると,横,縦,斜め,どの方向に足しても同数になるのが一例)の昔の記憶法として「六一坊主が蜂にさされ,痛くてたまらん七五三,たたき殺せややれ難し」という歌が紹介されているのに気付いた.一六勝負というのはサイコロ,つまり賭博のことで,六一坊主は賭博好きのなまくさ坊主とうことであろう.そこで,筆者はサイコロが好きな統計学者という意味で,自分のことを六一学者と称し,このウェブページで千字一話というシリーズを始めることにした次第.

ところで,大学などで確率や統計の講義を始めるときは,筆者は,サイコロやコイン投げ,そしてトランプ遊びの確率など,簡単な実験をやってみることにしている.これも森口先生から教わったことで,先生はばらつきや確率的な法則性について身をもって体験することの重要性を教えられた.ちなみに,サイコロを一つづつ学生に配り,10回あるいは20回振ったときときの丁半(偶数と奇数)の割合を調べて度数表やヒストグラムを作って観察する.

今なら,Excelやデータ解析のソフトウェアJUSE-StatWorksやJUSE-MAで乱数を使ったシミュレーションが簡単にできる.しかし,手や足を使った実験,観察,調査をとおして統計的な考え方を体験的に身に付けることを忘れないようにしたいものである.そもそも確率論は賭け事の観察から始まったのである.筆者の仲間は,4年前に「楽しい実験とやさしいデータ解析」という連載を日科技連の『品質管理』に1年あまり書いたが,サイコロ実験についてはその1997年11月号68-74頁,あるいは森口繁一著『初等数理統計学』(改訂版1957年,培風館)などを参照してください.


2001年2月17日掲載

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