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第2話 グラフのない統計は統計にあらず(六一学者の千字一話)

吉澤正先生御逝去に寄せて

六一学者の千字一話  六一学者 (吉澤 正氏)
六一学者 - 吉澤 正氏
(第10回JUSEパッケージ活用事例シンポジウムにて)


今や,マルチメディアの時代であるが,統計やデータ解析にとって,データや解析結 果をグラフで表現することは,昔も今も重要である.日本の教育では,小学生の頃から,棒グラフ,帯グラフ,円グラフ,そして推移を示す折れ線グラフなどが教えられ ている.少年朝日年鑑には,子供のときから今に至るまで御世話になってきた.

統計教育の振興で忘れられないのは,(財)全国統計協会連合会が主催してきた統計 グラフ全国コンクールである.今年は第48回にもなり,毎年全国統計大会の席上で 表彰式が行われる.小学生の第1部(1・2年),2部(3・4年),3部(5・6 年)から,中学生の部,高校生の部,一般の部,パソコン統計グラフの部までの7部に分かれ,都道府県コンクールで選抜された作品が全国コンクールで審査される.毎 年数万,昨年は3万七千件もの応募があった.

入選作品は,ウェブサイトのhttp://www.alpha-Web.ne.jp/nafsa/graph2.htmで見られるが*1,第1 部の文部大臣賞に輝いた作品は「おてつだいしていい気分」という題で,小学2年生 の作品.クラスの友達20人にきいて,どんなおてつだいをしているか,どうしておてつだいするのか,おてつだいしてうれしかったことはなどの調査結果を絵の入った棒グラフなどで楽しく描いている.「えらいとほめてもらったときがうれしい」,「これからはいわれなくてもおてつだいしたい」など,かわいらしい.

さて,日本科学技術研修所で開発している品質管理や多変量解析のソフトは,いわゆるビジネスグラフより,データ解析のためのグラフに力を入れている.例えば,多変量連関図は,多数の量的・質的変数の関係を散布図や層別ヒストグラム,さらにはクロス集計をグラフ化した立体図などをコンパクトに並べていて使いやすい.同じよう なものを散布図行列などといっているソフトもあるが,元東京理科大学教授の芳賀敏郎先生のアイデアなどを取り入れて,特徴のあるものになっている.名称については,筆者が名付け親のつもりである.

筆者は,日ごろ「グラフのない統計は統計にあらず,Statistics without graph, ne ver statistics」といっている.平均や標準偏差はヒストグラムで,相関係数は散布図で確認することを基本に,あらゆる統計量をグラフに対応させて観察することが有用である.多変量解析では,残差を使っていろいろなグラフが描ける.複雑な統計量も良く考えてみるとその計算のもとになった量のヒストグラムや散布図を書けること が多い.(千字一話という枠なのでグラフ無しですみません.これからはマルチメディアの利用も考えましょう.)


2001年3月28日掲載

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