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第19話  森口繁一先生とのメイル(1) JUSEのソフトの現状は?(六一学者の千字一話)

吉澤正先生御逝去に寄せて

六一学者の千字一話  六一学者 (吉澤 正氏)
六一学者 - 吉澤 正氏
(第10回JUSEパッケージ活用事例シンポジウムにて)


コンピュータ界の草分けで,日本の情報処理教育を指導された森口繁一先生が平成14年10月2日に亡くなられました.享年86歳で,満で数えれば来年は米寿を迎えられるお年でした.このホームペイジのある日本科学技術研修所では,昭和30年代の草創期にアルゴルコンパイラーの開発を指導されるなど,大変深い関係がありました.謹んで哀悼の意を表したいと思います.

日本におけるコンピュータの黎明期からの森口先生の業績については,情報処理学会のホームページにも載っていますが,パンチカードの時代から産業連関表の20次の行列の逆行列の計算を行ったり,東大でTACが動き出すと,プログラミングの教材を作って指導し,国産の電子計算機が動き始めると,共通の記号入力言語SIPを提唱されました.

1960年代には,アルゴルとフォートランの普及に尽くされ,日本でのプログラミング教育の指導的立場に立たれ,私もその教育のお手伝いをしたり,先生が東大データ処理センターの所長をされたときは主任として運営のお手伝いをし,NHKの1971年のコンピュータ講座や1982年のマイコン講座にも出演させていただいたものです.

なお,日科技研でのお仕事については,先生とともに開拓者の一人であった矢島敬二氏が『生きている数学』(培風館,1979)にくわしく書かれています.

この千字一話シリーズの第1話「データ解析はサイコロから」では,森口先生の85歳にしての著書『Excel/Basic基礎指南』を紹介し,先生からサイコロ実験やトランプ実験の重要さを教えていただいた話を書きました.

先生の晩年には,自らのメールをしばしばいただきましたが,その最後は,先生が倒れられた9月21日の前日で,その中では「日科技研のソフトの現状はどうですか」というおたずねがありました.次回の第20話以降にも,森口先生のコンピュータ,統計,品質管理などでのエピソードを取り上げたいと思います.

なお,『標準化と品質管理』12月号に追悼文を書かせてもらいました.また,日本品質管理学会誌『品質』の2003年1月号にも森口先生を偲ぶ追悼文を掲載する予定ですので,ご覧いただければ幸いです.


2002年12月12日掲載

 

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