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第23話 サイコロ占い(六一学者の千字一話)

吉澤正先生御逝去に寄せて

六一学者の千字一話  六一学者 (吉澤 正氏)
六一学者 - 吉澤 正氏
(第10回JUSEパッケージ活用事例シンポジウムにて)


前回は,5個のサイコロを振って(5個なければ1個のサイコロを5回振って)その和が,

としては,新年を占うことをおすすめしたが,試していただけましたか.

さて,今回は,種明かしというほどではないが,その占いの大吉,中吉,小吉の確率を計算してみよう.それには,5個のサイコロを振ったときの目の合計についてその分布を求める必要がある.結果は,大吉が15%,中吉が35%,小吉が35%,その他が15%である.

その種の計算は,最近は,エクセルのおかげで,大変楽になった.まず,1つのサイコロを振ったときの確率分布は,1から6の目のそれぞれが出る確率は等しく,6分の1とする.
これの確率分布を

(分子) 1 1 1 1 1 1 (分母)6

と表現しておこう.

次に2つのサイコロを振ったときは,一方を第1のサイコロ,他方を第2のサイコロとして,その目の組合せをすべて考える.それを表にしてみると,表23-1のようになる.

表23-1 2つのサイコロを振ったときの目の組合せと目の和
第1のサイコロ123456

2




1234567
2345678
3456789
45678910
567891011
6789101112

表23-1では,6かける6の36とおりの組合せがあり,それぞれの組合せの目が出る確率は36分の1であるが,合計で見ると,例えば,和が5になるのは,(1,4),(2,3),(3,2),(4,1)の4組である.同じ合計のものは斜めに並んでいる.したがって,下のように,各行を横にずらしていくと,同じ和の値が縦に並ぶ.

234567
345678
456789
5678910
67891011
789101112

そこで,和の値が2から12までのそれぞれの組合せの数は,次のような表を作って縦に足すといっぺんに計算できる(表23-2).全体の組合せ数は36であるから,確率は,表23-2の組合せ数を分子に,36を分母にして割ればよい.

表23-2 2つのサイコロの目の和の確率計算
合計23456789101112
111111
111111
111111
111111
111111
111111
組み合わせ数12345654321
(分子) 分母=36

次に,3つのサイコロを振ったときの目の合計の分布は,上の2つのサイコロの合計の組合せに1つのサイコロの場合を組合せて,簡単に求まる.表23-2の下段の数列を,以下のように6段ずらして並べて,合計をとる.組合せ数の総数は36x6の216のはずである.

12345654321
12345654321
12345654321
12345654321
12345654321
12345654321
組み合わせ数13610152125272725211510631

このやり方で,次は4個のサイコロの場合を計算し,最後に5個のサイコロの場合を求める.それは,エクセルで計算すると簡単で,以下のようになった.


図23-1
5個のサイコロを振ったときのの目の合計の分布

確率の値は省略するが,図から,5つのサイコロを振ってその合計が22を超えるのは(大吉は)約15%,19から21(中吉)になるのは35%,15から18(小吉)35%であることがわかろう.なお,場合の数は,6の5乗で7776になる.

以上のような計算は,1つのサイコロを振ったときの目の分布が等確率であったことによって簡単になったが,等確率でなければ,その確率を重みに掛け合せながら同じような操作をすればよい.エクセルのお蔭で,プログラムを作らなくてもこの種の計算がなんとか実行できるようになった.今回は,千字で済まなくなったが,ついでに,確率だけの図もきれいなので載せておこう.これが正規分布にどの位近いか検討してください.正規確率紙にプロットしてみてはどうでしょう.


図23-2 5個のサイコロを振ったときの目の和の確率


2003年2月18日掲載

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