六一学者 - 吉澤 正氏
(第10回JUSEパッケージ活用事例シンポジウムにて)
前回は,クォリティマネジメント用語辞典における本の腹にマークされた五十音行別頁数の分布関数を論じたが,続けて,『広辞苑』(第四版,岩波)や『大日本国語辞典』(講談社)について調べてみた.二つの代表的な一般的な国語辞典での分布は似たようなものであったが,クォリティマネジメント辞典のような専門分野の用語は,一般の国語辞典とはやや違う様子を示した.
そのあと,たまたま本箱にあった『逆引き広辞苑』(岩波,広辞苑第五版対応)を調べた.逆引き辞典は,単語の文字列を逆に読んだときの語順で並べたものである.例えば,“ぎゃく”は“く”のところ,“ぜん”は“ん”のところにあるといった具合である.逆引き辞典では,“あ行”,“か行”に続いて,“ん”の行が多いことがわかり,面白かった.それらのデータとグラフを以下に示しておこう.まず,本の腹のマークを分布関数として以下のように図にしてみる.
このような図でみると,逆引き広辞苑での分布は明らかな差があるが,その他のものの差はあまりはっきりしない.そこで,データの上で見てみると,下の表のようになる
表Iで,QM辞典はクォリティマネジメント辞典の略である.これを見ても,QM辞典では“あ行”が減って,“は行”が増えていることがわかる.その理由は,十分には分析していないが,QM辞典は,カタカナ用語が多いこと,品質が付く用語が多いことなどが考えられる.逆引き辞典の特徴は明らかであるが,“あ行”,“か行”,“ん行”がベストスリーになっている.比較のために,構成比をグラフにしてみると以下のようである.
2004年6月6日掲載
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